本の感想「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」

ー3つのポイントー
1.経営コンサルタントの上村紀夫氏が書いた書籍「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」の感想を紹介するよ
2.いかにして会社が病んでいくか、なぜ社員が離職していくのかを自身の経験から分かりやすく解説している
3.人の「マイナス感情」に注目し、いかにマイナス感情を取り除くかで伝染を防ぎ会社を良い方向にするかを示してくれているよ
「まさに弊社がその通りです!」
という声が聞こえてくるような良書でした。
私達ビジネスマンは普段から「顧客のニーズに合わせて提案する」というのを社会人一年生から徹底的に叩き込まれているはずです。
それがいざ「社長と社員」や「上司と部下」の関係になると途端に「離職を防ぐには給料を上げたらいいんでしょ?」とか「休みを増やしたらいいんでしょ?」という短絡的かつ自己中心的な発想のまま、何ら現場に相談がないまま実行されます。
このすれ違いが会社は自分の事を何も分かってくれないという思いになり、会社として金銭・時間的コストを払いながらも逆に不満が増えるという最悪な結果を呼び起こします。

この本の良い所は、徹底的に「問題点への気付き→具体的な解決策」という実際のケースに踏み込んだ事例を紹介してくれている所です。ふわっとした体系的なところで終わってしまう書籍が多い中、誰もが思っていた会社の不満を言語化し分かりやすく伝えてくれています。
特に、社員はどういった部分に不満=マイナス感情を持つのか。に注目しており、良くビジネス関連の書籍や自己啓発書にあるような「ポジティブになろう、気持ちを上向きにしよう」などのプラス感情を重視した内容とは真逆のものとなっています。
それは有名な書籍「7つの習慣」でも取り上げられている「他人は変えられない」という大原則につながっていくと思います。「マイナス感情をやめてポジティブになれ!」と言われてなれる人はいません。自分自身を変えることで、結果として他人が変わることしかありえないのです。
最期に、私は「社内顧客」という概念が好きです。社員も顧客と同じように温かい心を持って接するべきだと思います。
お客様に対して向ける話を聴く・理解する・認めてあげるという基本と優しさをどうして同じ会社の仲間に向けてあげられないのか。役職が上だからといって人間としての位が上な訳ではないのです。
ぜひ経営されている方や部下を持つ方に読んで頂きたい一冊です。社内の事務所にある本棚に置いてみてもいいですね。