ビジネスにとっての「引き算」|効率を上げる5つの方法
ー3つのポイントー
1.足し算ばかりで業務を改善しようとする問題について解説するよ
2.人間は何か「新たな行動を起こす=足し算をする」ことは得意だが、「何かを削る=引き算をする」のはとても苦手
3.引き算は物理的な業務や精神的なプレッシャーを軽減するので内容を見極めて引き算も考えていくべき
「今週は○○をやってください」
「業績が○%未満の部署は新しく○○を始めて報告するように」
「毎週火曜日の昼から○○会議を行います」
どんな業種であったとしても、こんな風に「何かを新しい事をやってください」と言われる事は多いもの。
なんでこんな事しなければならないの?と思ったとしてもやらなければならないのが社会人の常です。
日経新聞にて「現代人は引き算が苦手」という記事がありました。
確かに日本人のビジネス慣習にとって「何かをやめる」というのはうまくいっていない時ほどできない行動だと思います。
今回は記事の内容について話すのではなく、自身の経験から引き算がいかに有用かお話します。
足し算での解決をはかる事は逆効果な事もある
仕事のキャパシティは決まっています。「空いている時にこれをやって下さい」とは言われたとしても、そもそも空いている時なんてないよ、と思われる方は多いのではないでしょうか。
ではこの突然降り掛かってくる司令をやり遂げるにはどうするかと言うと…。
- 気合でやりきる(と言う名のサービス残業)
- 効率化を行う(今まで効率的でなかったのですか?)
- なにかを削る(本来の業務でやるべき事を削っていませんか?)
など、単純な業務改善命令は例えその内容がすばらしいモノであったとしても本来やるはずだったものがおそろかになりかえって逆効果になってしまう事もあります。
良い施策であったとしても、例えば「人員不足」が原因の根幹であるのにテクニックでごまかそうとしても一時しのぎにしかならず解決には至りません。
つまり「本当の原因は何か」を十分考慮せずに課題設定を間違えると、当然ながら対策についても本質とは遠いものになってしまうという事です。
さらにこれを能力のある人が高速でPDCAで回転させていくと、悲しいほど「無策な対策」が積み上がっていき「やるべきこと」が多くなりすぎ業務が崩壊します。
そうならないために必要な事を5つの方針にまとめました。
1.引き算から考えてみる
2.今ある内容を変化させた改善にする
3.やらない事を一緒に提示する
4.指示を出す人を明確にする
5.自分の仕事のキャパシティと人と同じではない
では、5つについて考えてみましょう。
引き算から考えてみる
まず最初に「何かをやめたら成果があがらないか」という発想から始めてみましょう。
毎日の業務はその会社が今まで行ってきた成功事例の積み重ねによって成り立っています。
営業であればTELフォローだったり顧客回りだったり、事務であれば日報や報告書がそれにあたるでしょう。
しかし、成功したその当時は100点の効果があったとしても、同じ事を繰り返すうちに90点…80点と効果はどんどん薄まっていくものです。
完全に取り払ってしまうのが難しいとしてもその業務を週に1回にしたらどうなるか、月金にしてみるなどを考えてみると良いでしょう。
「引き算をする」という発想そのものを持ち、チーム全体で共有する事こそ最大のミッションとも言えます。

今ある内容を変化させた改善にする
引き算をするために「○○を止めたい」と言っても「面倒だから楽をしたいと思われるかもしれない」という恐怖を感じる人もいるでしょう。
これは日本人特有の「空気」の話になってくるのですが、今回の話から脱線してしまうのでまた次の機会にさせてもらいますね。
方向する時、何かを辞めるという言い方でなく「AをBに改善させたい」という前向きな言い方をした方が受け入れられやすくなります。
「改善」という言葉はとても便利です。それが対した内容でなかったとしても前向きで有用な内容だと思わせる力があります。是非多用していきましょう。
やらない事を一緒に提示する
今回の記事は、新しいアイデアそのものを否定するわけではありません。むしろ時代に合わせたタイムリーな発言を最大に活かすために、やらないことを同時に提案して欲しいと思っています。
なぜなら、新しい事を社内で行おうとすると必ず出るのが「反発」です。その内容の善し悪しは関係なく、ただ単に「いつもと同じじゃない」だけで抵抗し、変わらない毎日を送ろうとする勢力は一定数います。
やはり決まった内容をできる限り落とし込み、全体に理解してもらうためにはまず「何か1つ新しい事をするなら、何か1つ辞める」という原則を取り入れるべきです。
これを行わない会社はきっと社内でも「いつの間にか古い決まりごとがやらなくなってる」という話題が出ているのではないでしょうか?
指示を出す人を明確にする
先輩「これやっといて」
課長「これやっといて」
部長「これやっといて」
あるあるすぎませんか?
指示を出した方々は、自分たちの指示こそ最善のものであり全員がやるべきだと自信を持っています。
しかしほとんどの方は、その内容が数ある指示者の中の1つであることを忘れています。
トップダウンで指示を行うなら、誰からの発信で行うのかの道筋は1本であるべきです。
自分の仕事のキャパシティは人と同じではない
これは特に優秀なマネージャーや上司が行いやすいミスですが、「自分ができる事は他人もできる」という前提で指示を行いがちです。(普段は「この仕事なら誰にも負けない」と思っているのにも関わらずです!)
仕事に対する取り組む姿勢は千差万別です。仕事のキャパシティとはその人が抱えられる仕事量だけを指すのではなく、モチベーションの高さやトラブル時に自己処理できるかどうかの能力も含められます。
あなたはこの仕事に人生の意義を感じているかもしれませんが、部下の1人はいかにして有給を全消化しようか考えているかもしれないのです。
自身が行える仕事量の7割程度が限界だと考えて部下の仕事内容を考えていかないと、キャパオーバーで離職やうつで長期休養などになったら目も当てられません。
足し算していいのは日々の積み上げ
最期に、決して引き算せず足し算すれば積み上がっていく事を1つだけご紹介しておきます。
それは「他者を認めること」です。他者の話を聴き、存在と行動を認めることを日々の「足し算」とすればきっとそれを行ったあなたについても信頼が高まり感謝されます。
大事なのは「見返りを求めないこと」です。無償で他人を認めたことについて、自分を褒めてあげることができればそれは十分な報酬だと思って下さい。
偽善の話をしているつもりはありません。結果的にそんな普段の行動が自分へ返ってくる日が来ます。
いかがだったでしょうか?
「全ての問題は人間関係でできている」というのはアドラーの言葉ですが、私はこういった日々の考え方についての気付きこそが将来の自分を形作っていくと考えます。
「引き算の考え方」をもって新しい対人関係へのチャレンジ、ぜひ行動してみてくださいね。